2002年のギャルゲー村最大の話題作。
正直言って、2002年時点でエロゲ経由ではない、純粋ギャルゲーの話題作が登場したこと自体が驚きだったかな。結局はその後も村内部での話題作に限れば幾つかあった訳だけれども、自分の当時の認識ではシスプリがこのジャンルの最後の花火かな、という感じでしたので。それが、普段はこの類のゲームには触れないオタ系サイトでも言及されていたりと、特にアンテナを向けなくても自然と情報が目に入ってくる状態になっていたのは地味に凄いことなんじゃないかな。
とはいっても、そんな話題作を自分が実際にプレイしたのは大分後の話で、所持しているのも廉価のSUPERLITE2000として発売されたもの。話題作にすぐに飛びつかなかったのは、ただなんとなくというのがまず第一だったけれども、「打越鋼太郎」がメインで書いているというのも避けていた理由のかなりの部分でもあったりもします。一番最初の「MemoriesOff」をプレイしていた人間としてはね、これは譲れない一線というか、遅刻の言い訳を学校のプールで海亀の世話をしていたから云々と主人公が延々とまくし立てるゲームの事なんか今更おもいださせるんじゃないよ。21世紀にもなって!!といった感じですね。あちこちのサイトでそのメインライターが「打越先生」呼ばわりされている現象も自分にとっては脳がゆすがれる程のインパクトがありましたしね。
このゲームの出だしからして、狸のキグルミに幼女がかぶりついていてその幼女に犬がかぶりついているといったもの。「人は同じ過ちを・・・繰り返す」っていうのはまさにこのことだよなぁ、なんて思いまたしばらく放置してみたりもしたりと、回り道もしました。
プレイしてみると色々な事をかんがえたりもしました「ごく普通の恋愛日常アドベンチャーゲームだったはずなのが、全キャラクリアした瞬間に、それまでやってきたストーリーなんか前ふりだぜといわんばかりに真シナリオが登場するゲームと、EVER17のように、謎があるのがあらかじめわかっていながらもそれが個別のシナリオでは一向に解決されずにストレスを溜めさせた上で、最後の最後になって解決!というのとではどっちが親切なのか?」という疑問や、「映像つきの作品で叙述トリック的な事をするもの大変だね」、だとか、「折角根本に大きな嘘を据えて登場人物やプレイヤーをだましても、細部が大味すぎて台無しになってない?」だとかね。
舞台設定や、謎の配置で話を引っ張る力があるのは認めますし、ギャルゲの中では結構な野心作でははあると思いますが、だからこそちゃんとした作りこみをして欲しかったですね。最終シナリオは力業としか思えないまとめですし。本当にもったいない。期待はずれとまではいかないけれど、がっかりしたことは確か。自分はすばらしいまでの引きの強さとがっかりな結末が魅力な恩田陸ファンですがこの程度のがっかりではぜんぜん足りないんですよ!!というのはさておき、プレイ中はわりと楽しかった事は確か何で余計にね。
ただ、このゲームで熱中した後でホームページ上で語ってみたくなるという気分はわからないでもないです。それに当時はテキスト系サイトの全盛時でもありましたし、このゲームはそういう波に乗ったという意味で、時代を反映したゲームなのじゃないかな、と今になって思ってみたりもします。